相続で名義変更が必要となる財産
1 相続した財産は名義変更が必要
相続が発生すると、その時点で、被相続人(亡くなった方)が所有していた財産は法律上、相続人に承継されます。
しかし、承継されたことと、対外的にその権利を主張できることは別の事柄です。
多くの財産については、名義変更の手続きが必要になります。
以下では、相続において名義変更が必要となる主な財産について、実務上の注意点も踏まえて詳しく説明します。
2 不動産(土地・建物)
相続財産の中で、最も代表的かつ評価額が高くなる傾向があるものが不動産です。
不動産は登記によって権利関係が公示されます。
そのため、相続があった場合には、法務局で相続登記を行い、名義を被相続人から相続人へ変更する必要があります。
令和6年4月からは、相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。
そのため、従来のように名義変更をせず放置するという対応は許されなくなっています。
相続登記をしないままにしておくと、不動産の売却や担保設定ができないだけでなく、相続人が増えて権利関係が複雑化するなど、将来の大きなトラブルにつながりかねないので、注意が必要です。
3 預貯金
被相続人名義の預貯金は、相続により相続人へ承継されます。
金融機関は被相続人の死亡を把握すると、口座を凍結するため、そのままではお金を引き出すことができません。
相続人が預貯金を取得するためには、金融機関ごとに定められた相続手続きを行い、口座解約または名義変更を行う必要があります。
実務上は、相続人全員の同意を証明するために遺産分割協議書や戸籍一式の提出が求められ、手続きに相当の時間を要することも少なくありません。
最近は、業務の効率化のためか、支店ごとに相続手続きできず、一旦、相続手続き担当の部署でしか手続きができないようになっている金融機関もあり、手続きのための時間がかかる傾向にあります。
4 有価証券(株式・投資信託・国債等)
証券会社に預けられている株式や投資信託、国債なども、相続により名義変更が必要となる財産です。
相続人は、証券会社に対して相続の届出を行い、相続人名義の証券口座へ移管する手続きを行います。
そのため、そもそも証券口座を持っていない相続人は、わざわざ証券口座を開設する手間と時間がかかることを考慮する必要があります。
被相続人が複数の証券会社を利用しているケースや、長期間取引がなく休眠口座状態になっているケースがあります。
名義変更をしないまま放置すると、売却や運用ができないだけでなく、所在不明の財産となるおそれがありますので、注意が必要です。
5 自動車・バイク
被相続人名義の自動車やバイクも、相続があった場合には名義変更が必要です。
普通自動車は運輸支局で、軽自動車は軽自動車検査協会で手続きを行います。
名義変更をしないまま運転を続けると、罰金がありますし、保険等の面で問題が生じる可能性があります。
また、売却や廃車をする場合にも、事前に名義変更が必要となるため、早期の対応が望まれます。
6 生命保険金
被相続人が被保険者の生命保険金は、受取人固有の財産とされるため、原則として相続財産には含まれず、名義変更という概念もありません。
ただし、被相続人自身が受取人となっている被保険者が相続人の保険契約は、相続財産として取り扱われ、手続きが必要になることがあります。
契約内容によって扱いが大きく異なるため、保険証券を確認し、保険会社へ照会することが重要となります。
7 相続財産の名義変更における注意点
相続において名義変更が必要となる財産は、上記のように不動産、預貯金、有価証券、自動車など多岐にわたります。
名義変更を怠ると、財産を自由に処分・活用できないだけでなく、法的・税務上のリスクが生じることもあります。
相続発生後は、早期に財産内容を把握し、必要な名義変更手続きを計画的に進めることが、円滑な相続の実現につながります。
必要に応じて、専門家に相談することも有効な選択肢といえます。






























